ツルです。

2018-01-01から1年間の記事一覧

おさまりの悪い弁当

不健康で非文化的な生活に小さく絶望しながら、コンビニ弁当をレンジに入れる。 色とりどりのおかずやブロック状に敷き詰められたごはんが、オレンジ色の光を浴びながら回っている。 回る弁当を眺めながら、母が作る弁当を思い出していた。茶色いおかず、握…

何にでもなれそうな夜

友だちのギャルから不意にLINEがくる。 「虚無」 彼女の嘆きはいつも手短だ。 特に核心には触れず、具体的な話をすることもなく、最終的に「後悔するかもしれない決断は日が昇ってからした方が良さそう」という結論に落ち着いた。 「テレビから歌うたいのバ…

ばあちゃん

私のばあちゃんは、不器用だ。 そのくせ凝ったことをしがちである。 例えば料理。 ばあちゃんが作る料理は一言で表せば図工で、好奇心と自己満足で成り立っている。 だから、朝から思いつきでグラタンを作ってみたりする。もちろん図工なので、ホワイトソー…

一瞬の懐かしさ

同じ「懐かしい」でも、しみじみ浸るものと、一瞬込み上げてパッと消えるものとがある。 後者はやたら、賞味期限が短い。 その数分間の全てが魅力のピークで、始まった途端に終わってしまうクライマックス、という感じ。 それは、地元スーパーの音楽、通学で…

死に近づく時

映画「母と暮せば」をみた。 早くに亡くなった息子が、母の諦めが悪いばかりに、この世にひょこっと現れてしまうという話。 息子、昔の思い出を生き生きと話してるときはきちんと姿が見えているのだけど、悲しくて悲しくて涙が出るとスッと消えてしまう。 な…

発展途上給食

たまらなく、給食を食べたくなる時がある。教室を臭くさせる納豆、コッペパンにフルーツとクリームを挟んだだけの世界一周旅行パン、情緒のないブロック状のお好み焼き・・・。 独特のメニューセンスと雑さが懐かしい。 ところで、唯一大人になってからも給…

わかりやすくて簡単

ムダなものを削ぎ落とした結果、シンプルに「なってしまった」ものが好きだ。 緻密な計算と複雑な工程を経て出来上がったそれは、一見簡単そうな見た目をしている。 でも、そこには確かに、玉露の一滴のような濃厚さと、試し書きのような思い切りの良さがあ…

地名の表情

アパートから9つの遺体が見つかったというあの事件、やたら「座間市の〜」と報道されるので、「座間市」の名誉が心配になる。 この地名の背景に懐かしい思い出や大切な人達の顔を思い浮かべる人もいるだろうに、あんな風に話題にされてしまって気の毒だ。「…

憧れの生活様式

「古いタイプの生活様式に新しい文化や技術が融合している」というスタイルにものすごく惹かれる。 例えば、普段から着物を着て過ごし毎日の食事は必ず和食、というような生活を営む三味線奏者が、音楽を聴くときだけは最新のワイヤレスイヤホンを使っている…

死ぬタイミング

『無人の森で木が倒れたら音はするのか』 答えは、「しない」だそうだ(あくまでも哲学的な話) 音波は知覚されてはじめて音になる。だから、森で発せられた音波を知覚する人がいないのであれば音はしないのだ。つまり音とは、存在ではなくただの認識という…

つくる

ケーキを作るように、晩御飯を作るように、彼女や彼氏を「つくる」と言うの、もうやめちゃえよ。そもそも、どんな成分を調合すれば恋人が出来上がるのだ。 ところで私は「コーヒーいれるけど飲む?」と聞いてくれるような人がそばにいる生活っていいな、と思…

あおやけのお風呂

夕方、暗くなる前に空が真っ青になる「あおやけ」が好きだった。この短い時間帯を狙ってわざと電気をつけずお風呂に入ると、外からの青い光を吸収した水はいつもよりもずっと透明で美しくみえた。 一人暮らしを始めてからは、あおやけのお風呂に入ることがな…

殺し得ること

殺人事件のニュースを見ると、大概の人が「恐ろしい」「同じ人間だとは思えない」と言う。私も言ったことがあるし、きっとあなたも眉をしかめて犯人を責めたことがあるだろう。しかし、私たちは平気な顔して犯人を責めていていいのだろうか。 “誰の心の中に…

「見ててね」

「見てる?ねえ見てる?ちゃんと見ててね」 こどものころ、母に何度も確認した。見ていて欲しいという気持ちは、口に出して欲しがらなくなっただけで誰もが持っているものだ。 でも、これから先「ちゃんと見てるからね」と言ってくれる人はどんどん少なくな…

薄い

すごく良い洋画を観終わった後、続けて、あるアイドルが主演を務めているB級コメディー映画を観た。そもそも観る順番が失敗だったのだろう。 B級コメディーの薄っぺらさに、思わず一緒に観ていた友達と「うっす〜〜〜〜」と叫んでいた。 そして何故か、どの…

自分探しをしているその自分は誰なんだ

確固たる個性を確立して、独立して生きなければならないと思っていた。ひとは個性的なほど良いと思っていたし、ハリガネムシに寄生されているカマキリは可哀想だと思っていた。 でも、そうじゃなかった。 自分とか個性とか、そういうのってそもそもあるよう…

正しいは恐ろしい

Yahoo!知恵袋で「祖母がやたら差別用語を使ってくることが不快です」という質問をみかけた。それに対しての回答は、 「(前略)もしいま私たちが普通に使っている言葉が、例えば何十年後とかにそれは差別語だから使うのはやめましょうと言われても、なかな…

音楽は洋服か?

「普段どんな音楽聴くの?」と聞かれた時、困ってしまうことが多い。 なぜなら、この質問での「音楽」は、相手の人間性や性格を推し量るものさしとして使われることが多いからだ。 私は、邦楽も洋楽もロックもアイドルも演歌も昭和歌謡もピアノも吹奏楽もラ…

古代ギリシャ

いつだったか、たまたま美術館でやっていた「古代ギリシャ展」を観に行った。予備知識は皆無だったので、展示をみてもピンとこない感じはわりとあったけれど、とにかく古代ギリシャ文明の発展具合がスゲエということはわかった。 たとえば、日本人がせいぜい…

死んでも消えない

当たり前のことでも、よく考えてみると改めて驚かされるということがある。 そんな感じで、この間わたしは 「あらゆるものは全て原子で構成されている」 という事実に改めてびっくりしてしまった。 目の前に置かれたコップも着ている服も、この身体すら、原…

こんにちは

Tumblrから引っ越してきました。 日常の記録を書きます。 過去の文章も一緒に待ってきたので、ここに置かせてください。